受け入れ企業は、外国人ワーカーへの給与支払いのために銀行口座を開設してもらわなければなりません。当人にとっても家賃や水道光熱費、携帯電話の支払いなどのために銀行口座はなくてはならないものです。しかし外国人ワーカーだけで日本の銀行に口座開設を行うことは難しく、受け入れ企業がサポートしなければなりません。本記事では、外国人ワーカーが銀行口座開設するのに必要なものや開設の流れ、受け入れ企業がすべき支援方法について説明します。
この記事の目次
外国人が日本の銀行に口座開設する条件とは
外国人が日本の銀行で口座を開設するには以下の条件をクリアしなければなりません。
- 仕事や留学のために日本に6ヶ月以上滞在している
- 住民票を取得している
上記をクリアするには在留カードと住民票が必要になります。
在留カードを発行してもらうには滞在期間が3ヶ月以上でなければならず、90日以下の観光ビザでは発行してもらえません。
住民票も在留カードがなければ取得できないので、必然的に滞在期間が3ヶ月未満の場合は銀行口座を開設できないことになります。
滞在期間が6ヶ月未満の場合は「非居住者」とみなされ、普通口座は作れません。
この場合、代わりに「非居住者円預金」の口座は作れますが、非居住者円預金は何かと制限があり、ほぼ、お金の預け入れと引き出しにしか使えません。例えば海外への送金や口座振替には使えなかったりするので、できる限り普通口座を作っておくことをおすすめします。
ちなみに、ゆうちょ銀行などの一部の銀行では、滞在期間が3ヶ月以上あれば6ヶ月未満でも普通口座を開設できます。
銀行口座の開設に必要なものと開設の3つのステップ
銀行口座を開設するにあたって、具体的に必要なものと開設の流れを紹介します。
受け入れ企業は必要書類の準備を手伝ったり、開設の流れを把握して窓口に同行したりと、外国人ワーカーをサポートしてあげましょう。
銀行口座の開設に必要なもの
外国人ワーカーが銀行口座を開設するには、以下のものが必要です。
- 本人確認書類(在留カード、パスポート、運転免許証、特別永住者証明書など)
- 印鑑
- 連絡可能な電話番号
本人確認書類には、顔写真と住所が記載されている必要があります。また多くの銀行が印鑑で手続きを進めるため印鑑を用意しておくと安心です(手書きのサインでも契約を進められる場合もあります)。「連絡可能な電話番号」は日本で契約した携帯電話の番号でも問題ありません。
携帯電話の契約については次の記事で詳しく説明しています。
銀行口座開設の3つのステップ
銀行口座の開設は以下の流れで行います。
- 店舗へ来店
- 申込手続き
- 通帳・キャッシュカードの受け取り
まずは必要な書類を持参して銀行の支店に行き、窓口で銀行口座を開設したい旨を伝えます。
開設予定の銀行にいくつか支店がある場合は、職場や居住地に近い支店を選ぶのがおすすめです。職場や居住地から離れている支店では開設できないこともあります。
最近では、オンラインのみで手続きを行える銀行もあります。窓口へ足を運ぶ必要があるかどうかは事前に確認しておきましょう。
窓口では外国語対応をしていない可能性があるので、企業の担当者が同行したり、通訳者を同行させたりする必要があります。
申し込みの手続きでは、名前、住所、生年月日、電話番号を聞かれます。日本語で伝えたり書いたりできるように準備しておてください。キャッシュカードの暗証番号4桁も事前に決めておきましょう。
手続きが問題なく終われば、その場で通帳を受け取れ、キャッシュカードは後日郵送で届きます。
キャッシュカードの受け取りには本人確認書類が必要なので、在留カードやパスポートをすぐに見せられるよう用意しておきましょう。
キャッシュカードが届くまでには通常1週間から10日ほどかかります。
銀行口座開設後の注意点
口座を無事に開設できても、注意しておかなければならない点がいくつかあります。
定められたルールを破ると、銀行口座が凍結されたり、場合によっては在留資格が取り消しになったりすることもあります。
受け入れ企業は外国人ワーカーに次のルールをしっかり伝えてください。
- 住所や在留資格・在留期間が変更されたら銀行に連絡する
- 帰国時は預金0円でも解約しなければならない
- 犯罪行為を行わないよう注意する
住所や在留資格・在留期間が変更されたら銀行に連絡する
引っ越しをして住所が変わったり、在留資格や期間が変更になった場合は、すぐに金融機関に連絡させてください。
ほかにも、通帳やキャッシュカードを紛失した場合や、不正利用された場合などには連絡が必要です。
帰国時は預金0円でも解約しなければならない
帰国時には銀行口座は解約しなければなりません。
もし解約せずに口座を残しておくと、口座が犯罪に利用され、口座を開設した外国人ワーカーが処罰を受ける可能性があります。
受け入れ企業は解約の重要性をしっかり伝え、必ず解約してから帰国するよう促しましょう。
犯罪行為を行わないよう注意する
銀行口座の売買や譲渡、偽造した通帳やキャッシュカードの使用などは犯罪行為とみなされます。
犯罪行為を行うと、在留資格の取り消しはもちろん、入国禁止などの処罰を受ける可能性があります。
外国人ワーカーは犯罪行為とは知らずに犯罪に関与してしまうケースもあるので、受け入れ企業は注意喚起を行ってください。
外国人ワーカーの生活に銀行口座開設は必須!
外国人ワーカーの銀行口座開設は、給与の受け取りだけでなく、生活費の支払いの口座振替などのために早めに行っておきましょう。
ただし外国人の場合、口座開設にはクリアすべき条件があり、受け入れ企業として事前に確認する必要があります。
口座開設に必要な書類を準備したり、窓口に同行したり、通訳者の準備をしたり、積極的に支援して、外国人ワーカーが快適に働けるように環境を整えましょう。