外国人技能実習生の面接のポイント

外国人技能実習生の面接のポイント

外国人技能実習生の受け入れを希望すると、数か月後をめどに、ようやく実習生候補と初めてコミュニケーションを持つ「採用面接」の機会がやってきます。面接は一般的な採用プロセスの中で最も重要なステップですが,こと外国人の採用においては、日本人とは異なった視点を持って臨む必要があります。本記事では外国人採用における面接のポイントを解説します。

この記事の目次

「本気度」を聞く
ただ「海外や日本に行きたいだけ」ではないか?

中には、「とにかく日本に行きたい」という理由だけで技能実習制度を利用する候補者もいます。自国から海外に脱出することが目的だとすると、当然、日本に来ても職率が高くなるでしょう。本当に募集企業を志望しているのか、面接の初期段階で確認しましょう。

本気度がわかる2つの質問

  • 志望動機は何ですか
  • 日本語学習のきっかけは何ですか

技能実習生の採用面接で、この2つの質問は必須です。
候補者の答えがあいまいだったり、業務内容を少しも把握していなかったりしたら、その企業は単なる「日本入国の踏み台」になる可能性があるからです。
ただ、基本であるからこそ、候補者の側も、送り出し機関などが用意した「テンプレ回答」を丸暗記している場合も多いので、注意しなければなりません。

遵法精神を確かめる2つの質問

  • どんな在留資格で日本に滞在するか知っていますか
  • あなたの国では違法ではないけれども、日本では違法になるものは何か知っていますか

在留資格やビザについての知識は、技能実習生制度について理解していれば、おおまかな答えは持っているはずです。
「ビザ関連の質問は失礼なのでは?」と考える企業担当者もいますが、日本人も異国に住めば、厳しい在留資格の許認可を受けることになるのですから、外国に住んでまじめに働こうと思うなら、最低限の知識を持っているのは当然のことでしょう。
2つ目の質問の答えは、たとえば、「野生の動植物でも日本では採取に許可がいること」「麻薬はもちろん禁止で、大麻でも禁止」といったことが考えられます。
もし何も答えることができなくても問題ではありませんが、答えてくれるようなら、日本への憧れや尊敬が高いということがわかります。
もっとも、どの実習生候補者にも志望動機の根底に「海外や日本への憧れ」があるのは当然。「わが社のことにあまり触れないなあ」と過敏になるもの禁物です。

日本での生活になじめそうか
異なる文化や慣習を受け入れられるか?

日本語能力試験ではわからない「コミュニケーション能力」

面接を行うと、当然、本人の日本語能力を測ることができます。
日本語能力試験のレベルと、実際のコミュニケーション能力は異なります。
まだ日本語はたどたどしいけれど、シンプルに的確な答えを返し、ときにはユーモアも添えてくる候補者もいます。逆に、文法的にも発音的にもしっかりした日本語を話すのに、内容が硬くて定型パターンでしか返せない候補者もいます。
前者のほうが異国での生活に馴染みやすいといえるでしょう。

日本のマナーについての知識を問う質問

  • 日本らしいと思うマナーは何ですか
  • あなたの国と日本とマナーで何か違いはあると思いますか

上記の「遵法精神の確認」にも関係しますが、母国を離れて異文化で生活する上で、異文化のマナーを尊重しなければならないのは世界中誰でも同じです。
今はYouTubeなどでも簡単に学べますから、日本に本当に興味があり、生活したいと思っている実習生候補者なら、日本のマナーについての知識も少しはあるはずです。
細かく認識している必要はなく、おじぎをする、電車やエレベーターに乗る時は降りる人を待つ、などといったことで十分でしょう。
ちなみに、「食事のときにクチャクチャ音を立てない」と答えた候補者は、採用後にあっという間に日本に慣れたそうです。

業務にまじめに向き合えそうか
日本人と一緒に働けるか?

面接中のクセをチェック

実習生候補者たちは、送り出し機関のアドバイスを受けて面接に臨んでします。
このため、ちょっと話しただけでは大きな違いは感じられないかもしれません。しかし、面接を続けるうちに、突然スーツを着崩したり、貧乏ゆすりを始めたりするなど、クセが出てくる候補者がいます。
面接中、何度も時計を見始める候補者もいますが、このような人は実際の業務でも注意散漫になりやすいかもしれません。
また、衣服の下にタトゥーが見える場合もあります。その企業の方針としてタトゥーを容認していない場合は、首元、袖口をチェックして下さい(送り出し機関側が把握していれば教えてくれることもあります)。
面接は、長ければ1時間ほどかかりますから、どんな人でも多少のストレスを感じるでしょう。逆に言えば、だからこそ候補者のストレス耐性を見ることができる機会なのです。

ちなみに、面接後、「候補者が何度も舌打ちするので驚いた」という企業担当者は少なくありません。日本以外のアジア各国では、じつは舌打ちは必ずしも不快の表現ではなく、質問に真剣に答えようと言葉を探している時に、「合いの手」のようにしてしまうことが多いのです。笑顔でいる実習生が突然舌打ちをしたら、日本の感覚ではびっくりしてしまうでしょうけれども、多少の舌打ちなら、日本の生活に慣れるうちに自然と消えていくことが多いようです。

時間意識があるかも確認

面接時間に遅刻しないことはもちろんですが、もし何らかの事情で遅れてしまった場合は、開始時間10分以上前に遅れることを連絡してきたかかどうかもチェックしてください。
事前連絡なしの遅刻は大きな減点評価になっても仕方ありませんし、それだけで落選させる企業も多いです。
日本の企業、とくに製造業の強みは、時間の正確さにあります。候補者の時間意識は、しっかり確認してください。

社風に合っているか
会社ごとに評価基準を決めよう

社風に合っているかということが最も大事なポイントかもしれません。
どんな規模の会社にも「社風」があります。
同じような技術や知識があっても、勤務を始めると定着したり離れたりするのは、社風に「合うか合わないか」ということが影響していると考えられます。
社風との相性の見きわめ方は、一概には言えません。企業ごとに具体的な評価基準を設定するしかないでしょう。
聡明で器用な候補者よりも、ちょっと不器用そうだけどきまじめな雰囲気の候補者のほうが、社風に合う場合もありますし、その逆も然りです)。
できれば人事担当者だけでなく、現場を知る責任者も面接に同席してもらったほうがいいでしょう。

タブーにはふれないように
面接では避けた方がいい質問

これは、面接を行う企業の側が注意すべきことです。
お互いをよく知るための面接とはいえ、踏み込んではいけないこともあります。日本の面接でも同様ですが、次の2つについては注意しましょう。

  • 宗教
  • 性に関する事項(※ゲイやレズビアンなど「性的マイノリティであるかを尋ねる」など含む)

ただし候補者がイスラム教徒の場合には、面接で宗教について質問したり確認したりすることがあります。というのも、イスラム教ではお酒や豚肉を食べること、犬に触れることなどが宗教上のタブーとなっているからです。年に1か月ほどは、日中の飲食ができない「断食」もあります。働いてもらうことになった場合、企業側が配慮することが必要でにすので、送り出し機関とも相談の上、その企業がイスラム教徒にどんな対応を行うのかを説明するのは問題ありません。本人からも「業務中に礼拝の時間が取れるのか」といった質問があるかもしれません。

本人の「本気度」を最優先に見きわめを

外国人の面接についてポイントを列挙しましたが、やはり最も大事なのは「ただ海外や日本に行きたいだけではないかどうか」です。
実習生候補者のほとんどは海外渡航経験がなく、日本の生活やマナーまでしっかりと想像できる候補者は少ないのです。
日本に行くことを心から志望し、日本語や日本のマナーを学ぶ意欲があること、そして募集企業について業務内容などを把握していること、つまり「本気度」をまず見きわめましょう。
意欲があれば、来日後の教育でもマナーは身につけられます。
そして、外国人だからこそ、異文化の生活環境についての留意点があり、気遣いが必須になります。
採用面接の「ねらい」は、日本人採用とほとんど同じです。ポイントは「いかにして離職を防ぐか」ということに集約できます。
面接で探しているのは、職場に定着できそうな人、社風に会う人であることを忘れずに。

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